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段差・寒さ解消と手すりで安心な浴室[清潔で安全な浴室とトイレ④]
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
白露(はくろ)初候 草露白し(くさのつゆしろし)
二百二十日(にひゃくはつか)と秋の雨
立春から数えて220日目にあたる今日は、「二百二十日」です。二百十日(にひゃくとおか)(282)と同様、日本人は昔から台風による被害を受けやすい厄日として警戒してきました。
いま頃からは秋の長雨をもたらす秋雨前線があらわれるため、大雨への備えも見直しておきましょう。
長雨というと梅雨(つゆ)時の6月や7月をイメージしますが、じつは9月の降雨量のほうが多い地域も珍しくありません。
秋の長雨は「秋霖(しゅうりん)」や「秋入梅(あきつゆいり)」「蕭雨(しょうう)」とも呼びます。「霖」は「長雨」、「蕭」は「もの寂しい」といった意味。たしかにしとしとと降る秋雨は、人々に寂しさを募らせます。
段差・寒さ解消と手すりで安心な浴室[清潔で安全な浴室とトイレ④]
水があるので滑りやすいこと、のぼせてふらつく可能性があること、大抵は1人で使うことなどを考えるに、浴室や(洗面)脱衣室には、手すりがどうしても無くてはなりません。
ところが意外と手すりがない浴室が多いのも現実です。ご自分は齢をとらないと勘違いしているかのごとく手すりは後回しのように扱われています。ここで誤解なきようお伝えさせていただきます。
高齢者だけでなく、手すりに関しては誰にでも同じことがいえるのです。
私にご依頼されたお客さま、Aさんのお住いでは、[浴室に入ってすぐの右の壁に、縦型(I型)の手すり]をつけました。
洗面脱衣室から浴室に入るところでは、たとえばフローリングからタイルといったように、床の素材が大抵の場合変わります。人は、足裏にあたる素材が変わるだけで、なんとなく違和(不安)感を感じるものなのです。
たとえほとんど段差がないフラットな床だとしても、こういうときに滑(すべ)ったり転んだりすることが大変多いのです。なので、この部分に手すりがあるとかなり安心できるのです。
不安感がなくなり、穏やかな気持で浴室に入ることができます。お風呂は身体や頭を洗うという目的のためだけに入るわけではないのです。
リラックスしたり、癒やしを求めて入浴される部分がかなりを占めているのです。実際に躓(つまず)いたり滑りやすい場所でもあるので、「浴室」に入るときには必ず手すりにつかまる」という習慣ができるといいと思います。
ある程度、その習慣が身についてしまうと、手すりがないと大変心もとない違和感が芽生えるようになります。そうなれば、しめたものです。玄関でもどこでも、段差あったり、滑りやすい空間に出くわすと、手すりがなくとも何かに掴まれるものを探すようになります。
そして、[浴槽の脇の壁には、L字の手すりと横一本の手すり]を付けるようにお薦めしています。入るときはL字の縦の部分に掴(つか)まって、握ったまま湯に浸(つ)かります。
そして出るときは横一本の手すりに掴(つか)まって手すりに掴まって身体を持ち上げるように起こし、L字の横の部分から縦の部分と順に掴まって出る(上がる)ようにします。
すべったり溺(おぼ)れたりするのを防ぐだけでなく、余分な力をかけず、ラクに入ったり立ち上がったりできるのです。手すりなど補助するものがないと、余計な力をかけてしまいます。
すると、滑(すべ)ったり、転倒の原因となってしまいます。大人になって、浴室などの硬いものだらけの空間で転んだら、まずある程度の怪我は免れないと思います。
それどころか、大怪我や死に至る場合も少なくありません。
ちなみに、浴室での溺死件数は、現在年間2万人弱に登っています。交通事故死の、およそ5倍弱です。もちろん、この溺死というのは、浴槽に落ちたり、滑ったり、転倒したもの以外の原因が、かなりの数あります。
①脱衣所から浴室に入るときに足元がすべりやすいため、浴室入り口に縦型の手すりを付けると転倒のリスクが断然減って、安心です。
また一方で浴槽の脇の壁にL字の手すりと横一本の手すりがあるだけで余計な力をかけずに湯に浸(つ)かったり立ち上がったりできるのです。もちろん、L字型手すりも、I字型手すりも掴(つか)まらなければ、無用の長物となってしまいますが…
②リフォームで上記のように3ヵ所に手すりを付けることをお薦めします。
ところで手すり以外にもユニバーサルデザインとしても、使いやすくて安心なのが、入り口です。浴室の入り口としてお薦めなのは、「3本引き戸」です。
3本引き戸というのは、引き戸の一種です。3枚の戸が順々に重なっていくスタイルで、全開したときは3枚が1枚の幅に重なります。
浴室の入り口面の幅は決まっているので、間口が同じなら、2枚の引違い戸より、3枚引き戸のほうが1枚分の幅が当然ですが狭くなります。
要するに開口有効幅(開口部が広くとれる)が広くとれるということです。
一般的なドア(開き戸)や折れ戸、引き戸と、さまざまな種類がありますが、開き戸や折れ戸は、高齢者や幼い子どもにとって危険なこともあるのです。
開き戸は、浴室から脱衣室に出るときに、いったん後ろに後ずさり(前に後ずさりとはいいませんが…)してから戸を開けなければなりません。
折れ戸は、上下の安定をとるのが難しいうえに、元気で活発な子どもだと、力が余って、はずしてしまうこともあります。(浴室建具も研究され、良くなってはきていますが…)
引き戸なら、それぞれの力加減に合わせて微調整ができるのが利点でもあります。それに廊下からの風に煽(あお)られて、勢いよくバターンと閉まることもありません。
さらに3本引き戸の場合は、出入り口が広くなるため、介助が必要な方にとっても安心です。ただし、1216サイズのユニットバスの場合は3本引き戸ができないため、残念ですが一本引き戸を選ばざるを…選びます。
【ユニットバスリフォームを期にユニバーサルに】
高齢のお母さまと同居しているAさんですが、都内のマンションの浴室を、バランス釜浴室からユニットバスにリフォームしました。いちばん気になっていたのが、浴室のドアの敷居です。
ここの高さが15㎝もあるので、出入りの際によっこらしょっと跨(また)がないとなりません。また一方で浴槽自体の深さは53㎝もありました。しかもその上据置式だったために、浴室の床面から浴槽の縁までが55㎝もありました。
浴槽に出入りする際は、ちょとした相撲の四股(しこ)を踏んでいるようだったのです。またぐたびに脚がつっかえてしまうのでなんとかしてほしいと言われました。
ユニットバスにリフォームした結果、浴槽の問題はほぼ完全に解決しました。浴槽の深さは以前の53㎝と5㎝しか変わらないのですが、床からの高さは約40㎝と15㎝も低くなりました。
入るときも、足をすべり込ませるように入浴することが可能で、断然ラクになりました。ユニットバスの浴槽の底は、洗い場の床レベルよりも少しだけ低くなるつくりなのです。
ですから、湯船の中にドボンと落ちるイメージではなくなりました。
それから、また脱衣室と浴室の間の15㎝の立ちあがりもほとんど平らになり、見切りの厚み3mmとほとんど段差はなくなったといっていいでしょう。
10年ほど以前のユニットバスの場合、入り口の敷居の下に水抜け孔(あな)が設けられていて、そこに汚れがたまってしまうのが難点でした。
ところが、10年ほど前から、洗い場の洗面カウンターの下端に排水が設置されるユニットバスも登場してきましたので、掃除の面からも、浴槽に入るときの違和感も大幅に改善されてきました。
【床暖房は浴室や脱衣室にこそ床暖房を!と15年前までは言っていましたが…】
脱衣室や浴室は、高齢者が脳出血や脳梗塞を起こしやすい場所です。もちろんそれは相変わらず毎年亡くなる方は増え続けているのですが、そこまでいかなくても温度差で溺死の原因になっているほうが遥かに多いのも事実なのです。
裸になったとき、寒さで血管が収縮して血圧が急上昇してしまうのです。そして浴槽に入れば、今度は血圧が急降下して、出ればまた急上昇となります。
その際に脳出血や脳梗塞を起こして死に至ると思われていましたが、そこまで行くまでに、急激な血管の収縮、拡張を繰り替えしは、意識がとんでしまうのです。
それが、洗面脱衣室や洗い場で起これば、倒れて頭や身体をぶつけ大怪我をします。浴槽に浸かっている際に起これば、溺れてしまうということなのです。
悲惨なことに、年間それらの死亡者をひっくるめると、1万9千人以上のかたがお亡くなりになっているのです。溺死として処理されているのです。
少なくとも日本のなかでは、コロナの年間死亡者とは比較にならない人々がお亡くなりになっているのです。
これらの悲惨な事故を防ぎ、減少させるためには、温度差をなくすことが重要なのです。そのためにも、浴室内、洗面脱衣室内に床暖房の設置をお薦めしています。
浴室床暖房を弱めに設定して数分間つけておけば、カラリと浴室内が乾いてカビも生えにくくなります。ー掃除がラクになるというメリットもあります。
在来工法の浴室に向く床暖房は、床下にお湯を流して暖める温水式パネル。ただし温水式床暖房にするには給湯器設備が必要で、浴室だけとなると割高になってしまいます。
それでも私は検討する価値があると思うのです。
十年ほど前までは…。
そうなのです。今ではあるメーカーの断熱浴室にして、電気式の換気乾燥暖房機を入れさえすれば、床暖房を設置するより桁違いに安価で、床暖房に匹敵するくらいの働きをしてくれるのです。
もちろん、床暖房をどうしても入れたいという方はお止めはしませんが、そこにかかる費用分、リビングダイニングなどに温水式床暖房(私の拘(こだわ)りのお薦めは、遠赤外線温水式床暖房)などを設置したほうが有効だと思われますが…。
追加費用は多少かかりますが、ユニットバスの交換設置工事をするなら、冬はもちろん、夏場もフルに稼働です。浴室を乾燥させてカビを生やさないラクラクお掃除のためにも大活躍します。
5年間使用して、一日100円程度。それで掃除の手間が大幅に省け、カビ知らずで過ごせるのです。メーカーからいくらか貰っていると思われても嫌なので、敢えてメーカーの名前は伏せておきます。
出せるお金があるのなら、労力は大いに買ってもいいと思っています。だれがやっても同じ仕事なら、設備に頼ってもなんのお咎めも気にされる必要はないのではないでしょうか?