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【和室のならわしが無視された家[和室part1]】

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今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
穀雨 次候 霜止んで苗出ず(しもやんでなえいず)

 

霜くすべ

 

 絹を生む蚕を育てるには、餌として驚くほど、たくさんの桑の葉が必要になるそうです。よほどたくさんの桑の葉をお蚕さんと同じように育てなければなりません。

 

 

 

 

霜降冷え対策ところが群馬や長野などの養蚕が盛んなところで、急な寒冷前線による冷え込みから霜が降り、桑の葉が枯れてしまうことが昔は珍しくなかったそうです。当然、そうなってしまうと蚕を育てられず、養蚕家は大打撃を被ってしまいます。

 

 

 

養蚕家はそんな霜に備えて気温に注意し、霜が降りそうだとなれば、青柴(あおしば)や籾殻(もみがら)を焚いたそうです。畔や畑に煙をやって霜を防ぎ、桑を守りました。それが、「霜くすべ」といわれてきたのです。

特殊暖房対策

真夜なかの桑の月夜へ霜くすべ

     長谷川素逝(そせい)

煙で燻されると、霜が付かないんですね。なぜ、そんなことを昔の人は知っていたのでしょう。不思議であり、今でも学ぶことがたくさんあると思いますね。

旧暦の、二十四節気、穀雨の次候の七十二候の季節は、「霜止んで苗出ず(しもやんでなえいず)」です。

霜の覆いがとれて苗がすくすくと育つころという意味です。およそ四月二十五日から二十九日までの季節です。

 

【和室のならわしが無視された家[和室part1]】

 

またまた、あの母娘連れのお客さんが相談にいらっしゃいました。今回はどんな内容でしょう?最近では、どうも私も愉しみなってきているような気もします。

d 最近の家では、だんだんできなくなってきてるみたいだけど、実家には和室が二間、法要の際には親戚一同がそこに集まって、それは賑やかだったんだよね。

m そうそう、二間続きの和室なんて、今の新しい家にはほとんど見られなくなったよね。

d そうだね。実際和室自体があまりつくられなくなったし、お客さまもリビングでおもてなしの時代だしね。

m 私の生まれた家には、玄関には広い三和土(たたき)があってね、和室には凝った意匠の欄間や縁側があったんだよね。懐かしいわ。

練馬区和室のしきたり

※間取りPlanA

  • ①縁側から遠いので暗くなってしまう。
  • ②4本引き襖の中央の二枚の合わせが、格下の部屋側に配置されている。
  • ③寝室と客間の入り口がすぐ隣り合わせになっているので、間違ってしまう恐れがある。
  • ④入り口が畳の短辺方向のため出入りしにくい。
  • ⑤縁側に面する窓が小さいので暗くなってしまう。
  • ⑥内障子の場合、和室側からみて左側に置かないと開け閉めしづらい。
  • ⑦畳の敷き方が「床差し」となってしまっている。
  • ※※※エアコンの設置場所や方法など検討が必要。

d 間取りPlanAは、いまどき珍しい二間続きの和室がある間取りだね。仏間、床の間、広縁もあるなんて珍しいし、すごいよね。

m 本当だね。奥の部屋は客まではなくて寝室に使われているようだけど、襖を外すと広く使えていいわね。でもいろいろ和室の常識、しきたりや作法がおかしいように思うのだけれど。

d どこがおかしいの?私たちや子どもの世代に和室のしきたりは、ほとんどチンプンカンプンだけれど、最低限のルールは覚えておきたいわ。多分、何百年、何千年の歴史が作り上げてきたものではないかと思うしね。

 

【解決策・処方箋】

 

本格的な和室の仕様に標準はありません。現地現物で確認しましょう

 今や都会では、二間続きの和室のある家をみることは、かなり稀になりました。核家族化が進み、敷地に余裕がない上に、法要の会席を別の場所で行うなどして、その必要性もなくなってきました。ですが、和室には、現代住宅にはあまり必要なくなってしまった、畳、床の間、仏間、縁側、障子、欄間、格子、離れ、三和土(たたき)、庭園などの設(しつら)えや空間が時代とともに姿や形を変えて受け継がれています。

生活様式が変わってしまっても、まだ今のところ日本人のDNAに文化としてのこっているのかもしれません。
 今回の間取りは二間の和室を連続させて、奥の部屋をお母様の寝室として使う間取りです。子世帯の客間はリビングを使い、床の間のある和室は親の客間や、仏間として利用するという計画ですが、和室造作のしきたりに色々と問題があるようです。

まず目に付くのが畳の敷き方です。床の間に対して畳の短辺を向けて配置する「床差し」がみられます。これは畳だけでなく天井板にも適用されるので気をつけなければなりません。出入り口と畳の関係は【和室CASE3】許されない畳の敷き方を参照して下さい。

 

正しい和室のしきたり

※間取りPlanAの解決策

 

  • ①吊り押入れにして低い位置に窓をつける。やわらかな明るさと風通しが確保できる。
  • ②ビルトインエアコンにしたいところだが…冷暖房効率が極端に悪くなるので一考が必要。
  • ③4本引き襖の中央の合わせ二枚は格上の部屋側にする。
  • ④出入り口を離す、もちろん可能であれば。
  • ⑤引戸は畳の長手一枚に合わせる。使い易くて見栄えがきれい。
  • ⑥縁側に面する窓や障子は開口いっぱいに設えるのが望ましい。
  • ⑦建具を窓から少し離して造作する。縁側の障子や特にカーテンなどと干渉する可能性が考えられる。

 次に「続き間襖の配置」です。格上の部屋に対して中央の2枚を向けるのが正しい配置ですが、逆になっています。縁側に面する窓の大きさも問題です。縁側は内外をつなぐ空間として重宝されてきました。和室、縁側、庭の連続性や、和室の明るさを確保するためにも「窓は開口いっぱいに」とったほうが使い易i上に、見てくれも全然違います。特に奥の部屋は暗く湿りがちになるため、押入を釣り押入れに変えるなどして採光や通風に配慮しましょう。また、和室は床の間など付帯空間が多く、外気に面した壁が少ないためエアコンの配置も事前に検討しておく必要があります。

 ここではごく一般的な事例にとどめましたが、本格的な和室ほど古くからの慣習やルールに対して配慮すべき事項が多くなります。そのような場合は、現在お住まいの家の和室、または参考にしたい和室をお施主さんと建築業者さんで確認した上で設計することをお薦めいたします。

by株式会社 大東建設 阿部正昭

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