BLOG
ブログ
意外に使いにくい正方形のリビング【リビングCASE 9】
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
清明 初候 玄鳥至る(つばめいたる)
お釈迦さまのお誕生日会
今日は、お釈迦様の誕生日です。各地の寺院では、お祝いの行事である花祭りを行います。いわゆる、お釈迦様のお誕生日会です。
仏教の開祖であるお釈迦さまは、ルンビニーの花園で生まれました。
なんと誕生してすぐに歩き、右手で天を、左手で地を指し「天井天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と唱えたといいます。
この姿をかたどった像が「誕生仏(たんじょうぶつ)」です。花祭りは、お釈迦さまが誕生した瞬間を再現します。
「花御堂(はなみどう)」と呼ばれる小さなお堂を、ルンビニーの花園よろしく色とりどりの花で飾り、花御堂のなかには、水盤に乗せた誕生仏を安置してあります。
この水盤は、お釈迦さまの誕生を祝って大地から芽生えたとされる蓮の花をかたどっています。
参拝者は誕生仏に甘茶を注ぎお参りをします。
これは、やはりお釈迦さまの誕生を祝いあらわれた9匹の龍が、不老不死の飲み物である「甘露(かんろ)」を吐き注いだという伝承に由来するものです。
また、この甘露を産湯にしたという伝説もあります。
甘茶は、アマチャもしくはアマチャヅルの葉を煎じたお茶です。
その名の通りほのかな甘味があり、無病息災の縁起物としても珍重してきました。
参拝後に持ち帰り、家族で飲んで厄除(よ)けとする習慣もあります。
お寺が経営する幼稚園や保育園では、花祭りを大切な年中行事として受け継いでいます。
子どもが誕生仏に甘茶を注ぐと、健やかに育つともいわれているそうです。
花御堂の美しさや、美味しい甘茶を懐かしく思い出される方もいらっしゃるでしょうね。
稚児(ちご)行列を催す寺院もあります。衣装をまとい、おめかしをした子どもたちが、並び歩く姿は、思わず頬が緩む可愛さ。
無事なる成長を願わずにはいられません。
そして…
玄鳥至る(つばめいたる)
この時期になると毎年思い出します、あのツバメはどうしたのだろうと…。
玄鳥とは、つばめのことです。玄鳥至るは、南からつばめがやってくるころという意味の七十二候の季節で、清明の初候にあたります。およそ4月4日から8日まで。
この鳥にはさまざまな呼び名があって、古名を、つばくらめといったそうです。それが、つばくらとなり、現在のつばめに。
中学生のころ、巣から落ちた燕の雛を巣がどこにあるかも分からず、自分で育てることになりました。
八畳間を燕の雛の部屋にして、付きっ切りで苦労して育てた覚えがあります。
いつのまにか、そとに出ても肩に戻ってくるくるぐらいにまでなりました。
ところが、渡り鳥の習性で外に飛び立つとだんだん戻りが遅くなり、3ヶ月後のある日、群れに混ざって戻ってこなくなりました。
その日に限って、何度も何度も上空を旋回していました。寒くなる前に挨拶をして、南の国に渡ってしまったのでしょう。
「つばめが巣をかけると、その家が幸せになる」という言い伝えがありますが、去年と同じ場所に巣ができると、ああ、今年も帰ってきたんだな、とうれしくなる風物です。
ちなみに、翌年もその燕は、戻ってくることはありませんでいした。40年以上過ぎた今でも、この時期になるとその燕を、もしかして…と探してしまう(笑)、滑稽な自分がいます。
意外に使いにくい正方形のリビング【リビングCASE 9】
今回は再び、母娘二人連れのお客さんが相談にやってきました。今回はどんな相談事を持ってくるのでしょうか……愉しみです。
間取りPLAN A
① 使い切れていない空間がもったいない。
② リビングからもダイニングからもテレビが見やすい。が…⇔④
③ ①と同様、空間が使い切れていないのでもったいない。
④ ⇔①大きな窓にテレビが被ってしまい、せっかくの掃き出しのワイドな窓が台無し。さらに、外からもテレビの裏が見えてしまうので、その部分だけでもカーテンなどで目隠しが必要。
間取りPLAN B
⑤ ソファで寛ごうとしも、キッチンの雑多なものが目に入り落ち着かない。
⑥ ①、③と同様スペースが使い切れていない。
d(娘サエコさん) 3間×3間でおおよそ18畳のLDKは、結構広いと思わない?
m(母) 確かに結構広いんだけど…間取りPLANAも間取りPLANBどちらもリビング空間が縦長になってしまっていて使いにくそうじゃない?
d 対面キッチンにするなら、AかBどちらかのレイアウトしかないのかなぁ?!どちらのほうが良いかと言えば…。
m Aはダイニングとリビングを一体として使えるような気もするけど、Bは別々に分断されてるって感じがするからAのほうが私はいいかなぁー。
d Aのソファの配置は、どうも何か落ち着かない気がするよね。テレビも大きな掃き出し窓の前で見にくそうだし、せっかくの大きな窓が台無しになってしまってる。私はBかな?!
m Bは南側にリビングがあるから、明るいかもしれないね。でも、テレビが冷蔵庫の横っていうのはちょっと頂けないかなぁ…。
d 図面では分かりにくいけど、18畳もあるのに、どちらも空間スペースを上手く使えてないから、実際には、狭く感じると思わない?
m 正方形のLDKってレイアウトが難しいと話には聞くけれど、実際にそうなんだねー。いい解決案はないのかしら?
【解決策・処方箋】
【使い難い正方形LDKは、もうひとつ空間を取り入れて使い易く!】
正方形に近い空間にLDKをレイアウトしてしまうと、必ず使い難いスペースが発生してしまいます。その理由は、LDKそれぞれの必要な空間スペースが、ほぼ正方形に近いからなのです。
正方形の中に正方形を組み込んでいくと、結果として1つの正方形に近いスペースが余ってしまうわけです。
例えば、間取りPLAN A・Bと同じ18畳の面積だとしても、右図のように長方形にすると、間口が3.64m、奥行き8.19mで同じ面積の18畳となります。
その場合は、リビング及びダイニングは間口3.64m×奥行5.9mのおよそ13畳で、長方形の使いやすい形になるのでたいへん効率的です。もちろん広さに余裕がある場合は正方形も長方形も関係なくなります。
ここで、もっとも重要なことは、赤字 部屋の広さ(畳数)にとらわれずに、使いやすい形に計画することです。
間取りPLAN Aでは出入り口付近のスペースがほとんど使い切れていません。さらに掃き出し窓にテレビが被ってしまいお互いの位置関係も決して、よいとは言えない状況です。
ソファの周辺にも通過動線(ダイニングに行くために通らなければならない人の通り道)もあって、リビングが落ち着かない配置だといえます。
間取りPLAN Bはソファの後方の空間が必要以上に広い通路のようになってしまい、うまく使えていません。その上、テレビの設置場所が冷蔵庫の横で、テレビを見たり、寛いでいる際に、キッチン内の雑多なものが、視線に入るのもよくありません。
間取りPLAN A・Bの解決案
間取りPLAN Aの解決案
① ダイニングテーブルを横付けにすることで配膳台としても利用可能となる。
② 腰壁高はテレビを置く場合はテレビが隠れるくらいに、ブラケットで壁掛けにする場合は、事前に下地で強度が取れるようにしておく。
③ リビングソファの配置は行き止まりなので、通過動線がなく、落ち着けるが、ダイニングを経由しなければならない。
④ 空間が多目的スペースとして有効に利用されている。
間取りPLAN Bの解決案
⑤ キッチンの雑多なものがリビングから見えない。キッチンもいつもすぐに片付けておかなければが無くなり、余裕が生まれる。
⑥ リビングに玄関や階段から直接入れ(リビングイン)て使いやすいが、ダイニングに行くのも、キッチンに行くのにも、通過動線が発生するので、落ち着かない。
⑦ ④と同様、空間が多目的スペースとして有効利用されている。
それに対して、間取りPLAN A・Bの解決案では、うまく使いきれていなかった部分を(赤)リビングとダイニングをつなぐ空間スペース(例えばここでは畳コーナー)として考えてみました。
さらに、キッチンカウンターの本来の役割は配膳台ですが、あえて配膳台として使うのではなくテレビ置き場、もしくは壁面ブラケットを使用して、このスペースに壁掛けとして設置するなど、新たなLDKのスタイルとしても提案してみました。
LDKを計画する際に、対面キッチン大前提で計画、プランニングするのではなく、壁向きのキッチンを考えてみる。場合によってはあえて閉鎖的にするなど、幅広いバリエーションを模索する中で、LDKの新たな可能性という出会いがあるかもしれません。