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家族同士の「つながり」が生まれる場所『二世帯住宅の玄関』
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
立夏 次候 蚯蚓出ずる(みみずいずる)
おおるりの鳴き声
オオルリという小鳥は、ご存知ですか?鳴き声を聴いたことありますか?観たことありますか??
鳴き声も見た目も美しい鳥です。高い声で様々なバリエーションのさえずりをし、他の鳴き真似もします。
さえずる声が美しい、と日本三鳴鳥に数えられるのが、おおるりです(あとは鶯(うぐいす)と駒鳥(こまどり)。背や羽があざやかな瑠璃色をしているのがオスで、茶褐色なのがメス。
どちらもおなかは白ですが、私も以前は、オスのほうしか、おおるりだとはおもっていませんでした。オスは高い木の梢で、ピリィリー、ヒーリリーとよく澄み渡った高い声を、森林に清々しく響かせます。
体調十六、七センチほどのヒタキ科の美しい鳥です。四月下旬ころに南から渡ってきて、山や渓流に沿った森などで過ごします。和鳥四品(わちょうよしな)‐おおるり、きびたき、駒鳥、みやまほおじろ‐と呼ばれて愛玩されてきましたが、いまでは鳥獣保護法により飼養(しよう)がきんじられています。要するに、捕まえて飼ってはいけないってことです。
自分が子どものころ、これらの小鳥は家で飼われていたので、馴染みが深いです。すでに、法律で飼うことはできませんでしたが、昔はそれほど厳しくありませんでした。周りの大人たちは、美しい声を聞くために飼っていたのですが、やはり自然の森の中から聞こえてくるオオルリの囀りには、なぜか敵わないものですよね。
旧暦の季節、七十二候によると立夏の次候は、蚯蚓出ずる(みみずいずる)。にょきにょきと、蚯蚓(みみず)が元気に地上に出てくる季節です。およそ五月十一日から十四日ごろのこと。
家族同士の「つながり」が生まれる場所『二世帯住宅の玄関』
二世帯住宅の玄関は、一体型より独立(分離)型!?
最近は、家族同士のつながりが見直されつつあるのか、二世帯住宅の需要も以前に比べて増えているようです。では、二つの家族が一緒に住むことになる家の入り口(=玄関)の理想はどんな形なのでしょうか⁈
それにはまず、お互いの家族の繋がりかたを考えることが必要です。二世帯住宅には浴室やキッチンを共有した「一体型」と各世帯が別々に生活できる「独立(分離)型」があります。土地が高く、世代間のギャップも昔より少なくなってきているので、一体型が増えるかと思いきや、実際にはそれぞれの生活スタイルを重視する傾向が強く、まだまだ独立(分離)型が活躍していきそうです。
独立(分離)型の設計は、世帯ごとの設計となるため、共有部分にもなる玄関の大切さをしっかり認識しなければなりません。せっかく二世帯住宅にするのですから「縁あって一緒に住むのですから、お互い楽しく過ごせるよう一緒に工夫しましょう」という考えかたでありたいものです。
玄関はそんなプラス思考な繋がりを実現させる大切な要素となります。そのため玄関まわりの設計では、二世帯の「接点」をいかに上手に生み出すかを考える必要があります。
今までの一般的な二世帯住宅の玄関(上)とプラス思考なつながりを目指す玄関の例(下)
【図a】世帯間を行き来できるドアを設置しているが入るときには別の家に入るような疎外感が否めない。
【図a‐2】かつての二世帯住宅の玄関パターン
ー玄関が完全に別れているため、二世帯の繋がりが生まれる可能性が低い。
bプラス思考な繋がりを目指す玄関の例。
玄関は全く別々ではあるが、接点を考えることで、いろいろなパターンでの繋がりがかのうとなる。奥を小さな共有部分とすることで、お互いの家の距離感が縮まる。
C 引き戸で繋がっている。全開にすれば一つの空間となり、オープンな繋がりができる。
d 壁に小窓などを付けることで、少しだけ距離感がほしいときに効果がある。
[家族同士の自然な接点を生み出す「玄関ホールの工夫」]
二世帯住宅の場合、玄関ホールを工夫することでお互いの距離感がグッと縮まります。
玄関ホールでの接点の作りかたには、隣接する二世帯の玄関の境界壁をなくして共有のホールにする方法、もしくは境界壁の開放度を調節する方法とがあります。
境界壁をなくす場合は、小さくてもお互いが第二のリビングとして使えます。ただし、この場合は、二世帯が仲が良くなければなりません。
ですから、そこまで仲良しでない場合は、少しだけ距離感を設ける工夫が必要です。
境界壁に窓やガラス、引戸などを設置し、開放度を調整します。たとえば引戸の場合、お孫さんが帰ってくる時間帯に解放しておけば、気楽に親世帯とのコミュニケーションが取れます。
境界部分の坪庭、クローゼット、収納などを共有することで、二世帯の自然な接点も可能となります。
[「視線」は、程よい付き合いかたのキーワード]
道路から玄関までのアプローチを共有することでも、自然な接点が生まれます。その場合のキーワードは「視線」。アプローチからお互いのリビングの雰囲気が伝わるくらいはいいのですが、見え過ぎると監視されているかのような錯覚をしてしまいます。
また、外部空間の管理も明確にしておかなければなりません。植栽を設ける場合などで、両世帯が交互に手入れするといったやりかたは、トラブルのもと。好きなほうが手入れをするくらいの、割り切りかたのほうがいいかもしれません。
もし、両世帯とも、お手入れが苦手という場合は、植栽などにこだわる必要はありません。玄関先にベンチや傘立てなどを置き、それを共有するのも、ひとつの方法だと思います。
大切なのは、同じ場所を通る、眺める、使うということです。そしてお互いの日常を隠すのではなく様子が伝わる程度が、程よいということです。
[玄関入り口までのアプローチを共有した例]
※植栽、ベンチなどを上手に使い、自然な共有部分をつくる。明かりなどが洩れる小窓などを設けて、お互いの様子が自然に伝わるようにできるくらいが調度いいかもしれません。ただし、経験上、ブラインドで開放度を調節するような窓は要注意だと思います。ブラインドを閉める行為は、見て欲しくない、マイナスオーラを相手側に伝えてしまう恐れがありますので。