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【和室】[粋]を知ることが日本文化に繋がります(63歳からのリフォーム⑪)
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
処暑 末候 禾乃登る(こくものみのる)
色鳥(いろどり)に出会う
これから、色鳥(いろどり)に出会える季節になりますよ。( *???)???
羽や体の色が美しい鳥を、色鳥といいます。
秋の空に映える可愛らしいシルエットを見かけたり、はっとさせられる鳴き声に耳をすませたりできるのは、これからの季節の楽しみです。
たとえばマヒワの雄は、黄色に黒が入り混じったきれいな色鳥。秋に群れで渡ってきます。
またジョウビタキやアトリ、ツグミなど、小さな野鳥を目にするとどうして心ときめくのでしょう。
色鳥を彩るは樹々かも知れず
黒川花鳩(かきゅう)
【和室】[粋]を知ることが日本文化に繋がります(63歳からのリフォーム⑪)
日本独特の文化である和室は、高齢者の方々にとっては慣れ親しんだ場所であり、居心地のいい空間です。というのが一般的な考え方なのだと思います。
思い出深い場所という意味では、そのように感じている高齢者の方もおられるかもしれません。
ですが、将来体力が衰えて介護が必要になったときの生活スペースとして考えてみるといかがでしょう。
今回の井戸端会議から出てきた会話から、高齢者の方や介護する家族の立場から、和室やそれに付随する縁側・仏壇の必要性についてさまざまな意見が交わされました。
そして話は、これからの生き方を見つめ直す、まるで哲学談義にまで発展していきました。
【失敗談 成功談?!etc…】
[コロナ禍での安全な場所、縁側]
「今思うと昔の人って玄関から出入りしてなかったと思わない?」
「えっ、ってどういうことかしら?」
「だって、わざわざ玄関まで出てこなくっても、縁側の掃き出しの窓が大きいから、そこに腰かけて家に上がれたじゃない?」
「そう…そう、思い出した。うちの田舎も確か、そうだった!」
「近所の人がいきなり訪ねてきて、ガラガラっととを開けて、「いる?」で、そこから何か茶話会が始まるような…そういうのがよかったなあ~」
「うんうん、たしかにそうだったよね」
「縁側というと…サザエさんの漫画を思い出すわ。カツオがあの場所でスイカを食べていて、美味しそうだなーと思いながら観ていたんだよねー」
「あった、あった。庭に種をブッ、プッって飛ばしっこしたりね(笑)」
「楽しく観ていたのに、エンディングテーマが聞こえると、やたらと寂しくなってしまってね」
「そうそう…」
「その縁側だけどそんなふうにのんびり過ごしたり、気軽に座ってしゃべれるからいいわよね。玄関からわざわざ上がったらそうはいかないものね」
「他にも、日向ぼっこして、お煎餅食べながら…とかね(笑)」
「いいよね~。今って、わざわざサンルームみたいなものを作ったりしているけど、昔はそこが廊下の一環として存在してたのねー」
「それに外と部屋の間の少しの空間が、外の気温から室内の温度を守る役目を果たしたり、畳焼けや直射日光を防いだり、室内の快適さを保護する機能を果たしてたとしか思えないね」
「あれって、そんな意味もあったのね。実はあの縁側も部屋にしてしまえば部屋のほうが広くなるのに…なんて浅知恵だよねー」
「へぇー。昔の家って、本当によく考えられてたんですねー」
「それに縁側って、昼間は外に面しているけど、夜になると雨戸が閉まるから廊下にもなって、家の中でもあり外でもあるんだよね」
「縁側って半分外でもあり、半分中でもありってなんだか曖昧(あいまい)な空間だよね」
「昼間にちょっとだけ話したいことがあって、でもわざわざ家の中に上がるまでもないってときでも、そこなら気軽に声をかけやすいのよ」
「道を歩いていてご近所さんの家の縁側から、よかったら上がってよ」って声かけられたとき、部屋に上がるにはちょとって遠慮があっても縁側ならちょっと座って離すくらいだったら気軽に行けるものね」
「すぐ帰るつもりでも縁側に座っておしゃべりしちゃうと、ついつい長いしちゃうんだよね(笑)」
「うちなんか、座りもしないで延々と話していることもあるよ。すぐ行かなくっちゃといいながら、立ったままお茶飲んで…三時間ってこともシバシバ…」
「そうそう、そんなふうに、気軽にコミュニケーションをとれるのがよかったんでしょう!?」
「たしかに、靴を履いたままでも会話できるのはいいよね」
「そう考えると、生活スタイルが変わって、遠くへの外出が減っても地域との繋(つな)がりが重要になってくる高齢者にとっては、こういう気軽にコミュニケーションがとれる場所があるといいかもしれないわね。っていうか、私だったら、絶対に必要だと思う」
「今のコロナ禍騒動なんて正にそうだと思わない。遠くまで出かけるなっていうんだから近所でしかも換気抜群の家の中と外の曖昧な空間での会話何て、コロナ禍にはうってつけだと思わない!」
【畳文化は日本が誇れるアイテムです】
「あと、それから和室と言えば畳だよね」
「うちは娘がイグサの匂いが苦手だっていうから、結局はつくらなかった」
「えー!ショック!!あの香りが苦手だって人がいるんだー!すごく落ち着いていいんだけどね~」
「そうだよね~!畳替えしたときの清々しい香りは、スッゴ~く落ち着くのにね~!」
「そうだよね~。(畳)表替(おもてが)えしたときの清々しい香りは、家がまた新しくなったみたいで気持ちまで清々しくなるわよね」
「最近は、衣食住の欧米かが進んでいるでしょう?その影響で和室のないお宅が増えていて、畳文化が伝わりにくくなっているみたいだよ」
「そういえば、畳の縁(へり)を踏まないとか、畳の上をスリッパで歩かないとか、そういうことを知らない子どもが急激に増えているって以前何かで話題になってた気がする」
「それなら当然、床の間文化とかも知らないだろうね」
「なんだか外国人と一緒に暮らしているような感じになってしまわないかな」
「そのせいか学校にも茶室があるんだって。お茶室から日本文化を伝えていこうという動きも出てきてるみたいね」
「そうなんだー!」
「そう言えば、うちの孫の学校でも、給食はパンよりご飯食の回数を多めに増やしているみたいよ」
「家庭で日本文化が学べないから、学校で補っていく時代になってきてるみたいね」
「でも和室って使い方に困るのよね。洗濯物や布団の置き場にしてしまいがちだし…」
「分かる~。そうだよね。うちもそうなってるから」
「それに畳ってお掃除が面倒なんだよね~」
「そうかな~?より簡単な気もするけど。固く絞った雑巾で拭き掃除もできるしね」
「年令を重ねて機敏に動きづらくなってくることを考えると、お掃除がなるべく楽にできたほうがいいと思うんだよね」
「確かにそうだよね。それに介護のことを考えてもそうだよ。以前、介護していたときに、こぼれたものの汚れがカーペットに染み込んで掃除が大変だったことがあって、それはもう…」
「うわぁ…それは、それは大変そう。そこらへんは、畳も同じかもね」
「畳って、イグサを束ねてできてるから、汁などをこぼすと隙間に染み込んでいっちゃうものね」
「そうだよね~!」
「でも最近はイグサ以外の素材の畳もあるらしいよ」
「そうそう、和紙やプラスティック製のものをイグサ状に加工して畳にしたものとか、汚れがつきにくい素材の畳とか、防臭効果付きのものもあるらしいね」
「へぇ~。そんなものもあるんだ~」
「ただ、畳は掃除のこともそうなんだけど、特に高齢になって足腰が動きづらくなってくると考えものだよね。布団よりベッドのほうが高さがあるから、寝起きがしやすいと思うの」
「そうですよね。介護する側にとっても、ベッドのほうがラクですよね」
「若い人のお宅の場合は、和室って何かと不便だから、初めから和室自体がないとか、和室を洋室に変えることも多いと聞くよ」
「現代人の生活スタイルの変化や介護をする上での不便さを考えると、畳は敬遠されがちだけど、私たちにとっては和室は身近なものなのよね。慣れ親しんだ、思い出深い空間という意味ではあったほうがいいのかしら」
「確かに、ベッドのほうがラクかもしれないけど、若いうちからラクをしてしまうと足腰の筋肉も布団の上げ下ろしの運動もしなくなってしまい、畳の部屋で布団の生活とベッドのそれを比較しすると、
圧倒的に寝たきり老人になる率は後者のほうが高いって言われてるよ。便利になればなるほど、脳も筋肉も退化していくんだって聞いたけど…」
「そうそう、欧米の人たちは毎日のトイレも寝起きもラクしているから、わざわざ時間をつくってジョギングしなければ、健康維持できないっていう話も聞いたことある!」
「スタイル抜群の人もいるけど超肥満も多いのは、そのせいなの?食生活もかなり関係してるよね。ここでは、その話は置いておいてまたにするけど…」
【生活シーンに合わせた空間づくり】
「確かに、思い出深く慣れ親しんだものがある方が、頭が活性化するというけど、もしかしたら、便利過ぎる空間から、不便な空間に居ることで、一生懸命考えなければならないから、脳が活性化するということかもしれないね。」
「手入れが手間なことはあるかもしれないけど、畳のよさは日本独特の文化でもあるよね。食卓になったり、リビングになったり、寝室になったり、客間に早変わりしたり……。」
「生活シーンに合わせて、多様に変化させることができる場所。掛け軸や花で、その空間を「ハレ」の空間にするんだもの。小さな空間を最大化する、その都度、考えるから脳は活性化する…昔の人の知恵だよね」
「ほんとうに、そうだよね。それにフローリングの床は歩いていて膝が痛くなるけど、畳だと体重を吸収してくれるから、膝への負担が少なくてすむだとかね」
「着物の文化にも畳は必要だよね。浴衣や着物を畳むときも、やっぱり和室が必要だという人もいるしね。」
「そうだね。日本の文化を伝えたり、昔からの親しんできた落ち着く空間として考えると、まるまる個室を一室とらなくてもいいから畳のコーナーが残っているといいかもしれないね」
「そう言えば、もともと家にお仏壇はなかったけど、ご主人に先立たれた友人で、お仏壇をおくことになたったとき、その近くにお仏壇用に使えるコンセントがなくて困ったらしいって話を聞いたわ」
「最近は、ろうそくの形をしたキャンドル電球があるから、危なくないし便利だよね。何かのはずみで家事になったら大変だしね。コンセントは何かと必要になるから、どこに配置しおくかの位置の確認は大事だよね」
「でも私は将来、よくある「お仏壇」じゃないタイプにしてほしいな。リビングの一角でいいから、家族が常にいる場所に私の写真と草花でも置いて、思い出したときに手を合わせてくれたら嬉しいんだけど」
「うん、そうだよね。私も立派なお仏壇じゃなくていいから、さり気なく家族の傍に居たいと思うんだよね」
「そう考えると、63、4歳からはシンプルな生き方をしていきたいよね。
親に感謝する気持ちと自分の老後を重ね合わせると、自分が居なくなったあと、子どもたちにできるだけ迷惑かけたくないって思うんだよね。
そのためにも、以後の生き方をちゃんと考えていかなきゃ」
「そうね。60歳過ぎてからの家造りって、自分のこれからの生き方と直結しているってことだからね」
【和室の見直し:解決策アドバイス・処方箋】
「和室」は、日本独特の住まい文化といっても異論はないでしょう。
住まいが西洋化されると同時に、和室の用途が少しずつ変わっていきました。
みなさんの話の中でも出てきましたが、和室は大変機動力にとんだ場所であり、空間です。あるときは、食卓の場、あるときは、リビング、あるときは、客間にさえも早変わり。
またあるときは寝室とさまざまな使い方に変化させることができます。
掛け軸や、季節の草花を生けるだけで、あっという間に日常の空間から、お客さまをおもてなしする客間に早変わりします。
今でこそ、畳の大きさは間取りによって少しずつサイズが違うことがありますが、かつては、引っ越しのときには畳も一緒にお引越し…だったようです。
それくらい、畳の部屋の大きさは一律決まっていたのです。例えば関東間の六畳であれば、2間×1間半(3,640×2730)どこへ持っていっても使えるのです。
とにかく、無駄のない物を大切にする文化だったのだと思います。
衣食住とくに元となる住まいは、とてもうまくシステム化されていたのです。今風にいうと、まさにサステイナブルといえるのだと思います。
様式の生活が当たり前になってきた昨今ですが、リゾートホテルなどでは、「和」テイストのホテルも多く見かけるようになりました。海外のお客様からも、足の裏の「畳」の感触を称賛される方も激増しているようです。
「足の裏から始まるおもてなし」
これも、たいへん日本的な、おもてなしです。
お孫さんのお昼寝のスペースやみんなで集まってワイワイと楽しめる空間にもなる「和室」
フローリングに直接ゴロンとなる気はしませんよね。
障子や簾(すだれ)も含めて、改めて取り入れてみるのも素晴らしい選択だと思います。
【高齢者 和室 チェックリスト】
- ①縁側は、近所の人と気軽にコミュニケーションが取れたり、畳焼けや直射日光防止・室内の快適性の保持など、便利な機能があるので、生活をイメージしながら必要に応じて検討しましょう。
- ②縁側をつくる際には、そのための庭が確保できるかどうか確認しておきます。いくらも庭が取れなければ、無用の長物になってしまうので注意が必要です。
- ③畳文化を伝える意味では畳はあったほうがいいが、独立した和室をひと部屋作るか、リビングなどのコーナーにするかは、用途に合わせて検討します。
- ④汚れたときのことを考えると掃除がラクにできるほうがいいので、畳はイグサ以外の素材も検討しておいたほうがいいでしょう。
- ⑤ただし、いろいろと機能を付加しているものには、化学物質を使用しているものが多くみられ、健康を害する危険が否めません。本末転倒になる前に、十分に検討が必要です。
- ⑥高齢者にとっては、布団よりベッドのほうが寝起きがラクな場合が多いので、和室をつくる際はその点も十分に考慮するべきだと思います。
- ⑦ただし、⑥の場合、若いうちから、便利になり過ぎは、脳の活性化も、筋肉の保持にも悪影響を及ぼします。畳の部屋だからといって、介護用にしても、普通ベッドにしても置くことは可能なので、
どうしても必要になってからでも大丈夫だと私は思います。 - ⑧仏壇を置く場合、配線やコンセントの位置・数なども確認しておきます。
- ⑨日本文化の代表である和室は、身近で慣れ親しんだ空間でもあるので、住む家族の意向を十分に考慮して必要かどうかを判断することをお薦めします。