BLOG
ブログ
【本物の障子と和紙の使い方に拘(こだ)る[材料、設備の追求10]
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
大雪 鮭魚群がる(さけむらがる)
川上で孵化(ふか)した鮭の稚魚は成長すると海へ下り、数年を過ごします。やがて成熟すると、産卵のために生まれ故郷へ。群れをなして川を遡(さかのぼ)る光景は、生命の躍動と不思議そのものです。
古(いにしえ)の人々は、故郷に戻ってくる鮭を神様の恵みと考えていました。アイヌ語で鮭は「カムイチェブ(神の魚)」。さらに北海道や東北地方の人々は鮭の遡上(そじょう)に感謝し、豊漁を願う鮭祭りを受け継いでいます。また、鮭と結婚したり、鮭の妖怪が人命を奪ったりする民話も伝わっています。感謝と畏れをもって、神さまの魚をいただいてきたのですね。
・今日を楽しむ
【鮭魚群がる(さけむらがる)】
大雪の末候は「群れをなした鮭が川を遡上するころ」といった意味合いです。?魚(けつぎょ)は七十二候が生まれた中国に生息する淡水魚。日本にはいないため「サケ」の読みをあてたといいます。
【鮭の民話】
鮭と結婚する話は「鮭女房(さけにょうぼ)」。鮭の妖怪が人命を奪う話は「鮭のオオスケ」という名で各地に伝わります。
【春日若宮おん祭り】
毎年12月15?18日に行う春日大社(奈良県)の摂社・若宮神社の祭礼。奈良県最大の年中行事ともいわれ、五穀豊穣や万民安楽を祈り、時代行列や神楽(かぐら)、田楽などを奉納します。
・季節をたのしむ
【荒巻(あらまき)鮭】
内臓を取ったサケを塩蔵した荒巻ザケは、保存性の高さからお歳暮の品としても人気です。かつては荒いムシロで巻いたことから「荒巻」と呼びましたが、今は「新巻」の字をあてています。
【本物の障子と和紙の使い方に拘(こだ)る[材料、設備の追求10]
【たかが障子、されど障子に拘る】
障子は洋室であったとしても現代的な和の空間を実現できる建具といえます。障子にはカーテンのような遮光性まではありませんが、そのカーテンよりも気密性は高く、断熱性能は断然高いのです。
遮光性を求めるなら、雨戸などを利用すれば十分に確保できますし、障子越しの光は拡散して陰影をもたらし部屋全体が柔らかい光に包まれるのです。
「小さい子どもがいるので無理」という家庭でも、穴が開きにくい高強度のある障子紙もあるので心配することはありません。障子は日本人が生み出した性能も高く美しい建具なので、現代の住宅にも積極的に使ってほしい設(しつら)えといえます。
【洋室仕様なら、障子の縁(ふち)や桟(さん)などの部材を細く仕上げる】
①組子:スプルス(もしくは檜葉)幅9×厚さ18mm
②ルーター彫り
③框、組子とも細くしてひとつの枡(ます)を上図のように大きめにすると洋間にも合う現代和風的な障子にすることも可能となります。
④上の図は、伝統的な障子の例です。水越障子と呼ばれる腰板のない障子となります。これは組子で4×6分(12×18mm)という資料もあります。本格的な和風の設えにする場合は、こうした伝統的な割合(プロポーション)が似合っているような気がします。
【和紙の活用を極める】
和紙は大変魅力的です。障子紙などを通した光の趣はもちろんのこと、壁や天井に使用した際の陰影や風合いは、部屋の雰囲気づくりに絶大な威力を発揮します。襖(ふすま)などの建具に使用するときには、太鼓張り(※)にしてシンプルに仕上げることをお奨めします。
和室では、左官鏝(こて)塗り壁の腰部分張って普通とは違った変化を醸し出すこともできます。日本独自の発展を遂げてきた日本の紙である和紙ですが、和紙に限らず洋室の壁や天井にも積極的に使用することをお奨めします。
上がり天井部分のみに特別な色や模様の和紙を使ってみても愉しいかもしれませんね。
【和紙は比較的安価で雰囲気のある空間を演出できる】
①戸襖(とぶすま)ー片面仕上げ
②戸襖(両面化粧仕上げ)
和紙/突板仕上げ
③建具枠堅縁(かたふち)の中心で和紙を巻き込むことにより張り納めています。
※まとめ 和紙は張り方向、目地の取り方、表裏の選定なども工夫できる手軽に扱える仕上げ材です。全国的に産地があり種類も豊富で、比較的安価なことも使い易い材料だといえるかもしれません。
【※ 太鼓張り:①障子や経師(襖等)などの骨組みの両面に紙や板などを張って中を空洞にしたもの。②太鼓張り襖の略で、①のようにつくり框も引き手も付けない襖のこと。
私の場合は引き手も付けるので厳密には一般的なものとは違うのかもしれませんが4周に縁をまわさず上張りで周囲(小口)をくるんでいます。】