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通常のユニットバスは、意外に掃除が大変です。[清潔で安全な浴室とトイレ③]
今回も独断と偏見で旧暦のお話から入らせていただきます。
立秋(りっしゅう)末候 蒙霧升降す(のうむしょうこうす)」
漬け物と香の物
塩や醤油、糠(ぬか)などを用いて野菜や果実を漬ける漬け物は日本古来のおかずです。
春の山菜、夏の梅、秋の根菜、冬の菜っ葉と、私たち日本人は各地で四季折々の漬け物に親しんできました。
漬け物には「香の物」という、ちょっとよそ行きの別名があります。
この名前が生まれたのは室町時代。
香木の名前が生まれたのは室町時代。香木の香りを聞き分ける「聞香(ぶんこう)」においで、嗅覚の疲れを癒すために大根の塩漬けを嗅いでいたことに由来するといわれています。
伽羅(きゃら)や白檀(びゃくだん)といった高貴な香りで鋭敏になり過ぎた鼻を、漬け物でリセットするわけです。
漬け物の素朴な香りはホッとするもの。しみじみ、語源に納得してしまいます。
通常のユニットバスは、意外に掃除が大変です。[清潔で安全な浴室とトイレ③]
数年前の数字ですが、現在のところ、浴室リフォームはユニットバスがおよそ7割、在来工法が3割といった感じです。現在ではもう少しユニットバスリフォームが伸びて、在来工法が減少しいるかもしれません。
「実のところ、私はタイル仕様の昔ながらのお風呂が好きなのですが、ガビが生えやすくて、掃除を含めた手入れが大変なので、ユニットバスに交換してほしい」「掃除がラクそうなのでこれからは、ユニットバスですよね」
という方が圧倒的に多いのは事実です。できればお風呂などの水廻りの掃除は大変なので、ラクしたい、その気持は、そんなに掃除をしない自分でも大変よく分かっているつもりです。
自分の家のお風呂をたまに掃除してみると、掃除がラクなお風呂にリフォームしたくなります。自分なりにどんなお風呂が掃除がしやすいかは普通の方よりは職業柄少しは分かっているつもりです。
それだけに余計そう思ってしまいます。
ところが、実は掃除が大変なのはユニットバスのほうなのです。と言ってもいいくらいに、ユニットバスならどこのメーカーのどんなシリーズでも掃除がラクなわけではありません。
見えないところにカビがたくさん生えてしまい、しかもなかなかきづかないのです。モルタルで埋める在来工法の浴室と違って、ユニットバスは「組み立てる」モノなのです。
当然、あちらこちらにすき間が生じます。浴槽の底と防水パンの間にも空間があり、そこに水が入ったり湿気が入り込んだりして、カビが生えてしまうのです。
また、バリアフリー仕様の引き戸や折れ戸の敷居部分は排水溝も兼ねているので、ときどきははずして掃除しなければなりません。それがまた意外に面倒なのです。
と建築家で先生と呼ばれる方々はそのように言われることが多いようです。確かに言われていることは的を射ているように聞こえますが、在来工法の浴室だってモルタル等で埋めてしまい、すき間が無いように見えているだけなのです。
カビたり汚れたりは実際に在来浴室でもユニットバスでも同じように起こっています。ユニットバスにはすき間があるといいますが、実際にはそのすき間があるほうが、カビは生えにくいのも事実なのです。
実際にリフォームの現場で在来工法とユニットバスの両方を壊したところを見てみれば、一目瞭然に在来工法の浴室のほうがカビだらけで下地が腐っているのも前者なのです。
おそらく、建築家の先生と呼ばれる方々は机の上で設計をしているので解体現場の現実を見ていないので、想像で片付けられているのではないかと思います。
その上最近では、掃除のしやすい素材を使ったユニットバスがたくさん出てきているのです。できるだけ単純な形で、凸凹の少ないものを選んだほうがいいでしょう。決して高価なものが掃除しやすいわけではない、ということも理解しておいたほうがいいでしょう。
と言われるのも、建築家の先生方の言い分です。ところがそのような掃除し易い素材のユニットバスも実際には、数十年前から出回っているのです。
自分は、在来工法の浴室は大好きです。デメリットを包み込んでなお使いたいと思うのであれば、そちらの考えも大いに賛成です。
ただし、日本の建築、リフォームはもっと客観的見据える必要があるのではないかと私は感じています。
【浴室の窓は最低2箇所が理想】
向かい合う2箇所に窓があると、風の流れができて湿気がこもりにくくなります。
浴槽の長辺側と短辺側の上にひとつずつあるのが理想的で、2つの窓のうちひとつは、洗い場に立ったままで無理なく開け閉めできる場所につくると安全面からも理想的です。
ただし、マンションなどの場合は、2箇所どころか、ひとつでも設けられない場合が多いので、窓が一つでも設けられるマンションを選ぶか、能力の高い換気機器を考慮する。
浴室を長持ちさせるには、湿気対策=換気が何よりも重要です。浴室内に風の流れをつくるには、風の入り口と出口、2つの窓があると理想です。
不思議なことに、窓がひとつの場合、それがどんなに大きな窓だったとしても、思うほど風が流れないのです。
重力換気を利用して、縦長の窓にすれば違うとは思いますが、浴室の場合、腰より下には窓を設置したくありません。
一戸建ての住宅の場合は、できるだけ窓を2箇所に設けるようにします。
2箇所の窓を付けられる場合、ひとつは浴槽の長い方の辺の上に、もうひとつは短い辺の上に設けるようにします。
窓同士が直角に向かい合うように設置するのが最適です。
ただし風の道を作るのが目的なので、入り口と出口を設けてあげればいいわけです。
ですから、ひとつは窓でもうひとつはしっかりとした換気扇を設けてあげればその問題は、解消します。
逆に、窓を設けてあるので、換気扇のない住宅がありますが、自然換気だけでは安定して乾かすことができないので、ここは機械の力も借りられるようにしておいたほうが懸命だと思います。
窓を2箇所設けられる場合は、その際、どちらかひとつは必ず、洗い場に立って無理なく開け閉めできる位置にしましょう。
ただでさえ、床や壁が濡れていて、どこよりも滑りやすく危険なのが浴室です。
お湯が残っている浴槽の手前に立って、
その奥の窓を閉めようと手を伸ばし、滑って怪我をした人の話もよく聞きます。
危ない姿勢を強いるようなつくりは、極力避けたいものです。設計上どうしても無理な配置になってしまう場合は、それこそ無理に設けることはせずに、換気扇などの機械に頼ることも必要だと思います。
そして窓がとれる壁が一面しかない場合は、小さくてもいいので2つ並べてつくるのもありだと思います。
K様邸鉄骨A L C住宅のリフォームでは、1階の角に浴室をつくり、浴槽を囲む2面の壁に小さな縦長の窓をひとつずつ高さをずらして設置しました。
一般的には浴室ではガラスがブラインドの羽根のようになっているガラスルーバー(ジャロジー)窓つけることが多いようです。
こちらでは敢えて住宅密集地の1階です。あり防犯上安全性の高い上げ下げ窓にしました。
当然ですが、窓の上部と下部の両方を開けることのできる上げ下げ窓にしたことはいうまでもありません。