BLOG
ブログ
Z世代の若手に慕われるには…ー 多様性を認められるリーダーになる方法 ー
多様性を認められるリーダーになる方法
1998年から2012年生まれを「Z世代」とすると、今の若手はまさにその世代です。
多くの経営者や管理職が、この世代の育成に悩んでいるようですが、実は私のようなものでさえも苦手です。
そのZ世代の特徴はというと、「出世欲はないが成長したいという欲求が強い」ことです。
その傾向をつかんで接することが必要なようです。
若手社員もZ世代、価値観が異なる若者の特徴とは?
多 くの経営者やマネージャー(管理職)が、いわゆる「Z世代」と呼ばれる若い世代の育成に悩んでいます。
今までと同じように育成しているのに、思ったように動かない、何を望んでいるのかわからない、…といった声をよく聞きます。
まず、世代間ギャップというのは、「Z世代」に限らず、いつの時代もあるものです。
「古代の壁画に『最近の若いものは』という愚痴が書かれていた」という話があるぐらい、普遍的な悩みです。
そして、現在の新卒社員も含まれる「Z世代」が会社や仕事に求めることは昔とは変わっています。
昇給や出世へのガツガツとした意欲はさほどなく、代わりに成長欲求が強まり、パーパス(社会的な存在価値や意義)を重視する傾向があります。
そ の他にも、「Z世代」は以下のような要望がより強いと言われています。
・話をしっかり聞いてもらいたい
・頻繁な承認を求める
・多様性の尊重、上司のやり方を押し付けられたくない
ここでお伝えする「任せ方」は、「Z世代」を最大限に活かす手法となっています。
自信を持って正しく「任せる」ことで若手の成長を促してください。
管理職は部下よりもえらいわけではなく、役割が違うだけ
「君(くん)は舟なり、庶民は水なり」…中国の古典にある荀子(イラスト)の言葉です。
「君主は舟で、人民は水のようなものだ」ということです。
水によって舟は浮くことも転覆することもあり、その地位にあぐらをかいて威張るのではなく、人民を愛して大切に扱うべきだと示唆しています。
これは、ビジネスで上司と部下の関係にもあてはまります。
マネージャーはメンバーよりも偉いわけではなく、役割が違うだけ。…自分の下で支えるだけの存在と軽んずると、転覆してしまいます。
マネージャーである自分をどれだけ持ち上げてくれるか、という自己至上主義ではなく、主役はメンバーであるというマインドにシフトする必要があります。
これからの時代に求められるリーダーのタイプとは?
ど のようなリーダー、どのような「任せ方」が今の時代に求められているのでしょうか。
かつては圧倒的なパワーを持った一人のリーダーが強引に引っ張るスタイルが主流でした。
①支配型リーダーシップ と呼ばれるものです。
ハラスメントやコンプライアンスという概念が気薄だった頃には、トップダウンの命令型の任せ方が横行していました。
新時代のリーダーとして推奨されているのが、奉仕型といわれる ②サーバントリーダーシップ です。
メンバーを主役と捉えて、個々の力を強化しながら組織の成果を最大化していくタイプです。
「任せる」のは個の成長が目的です。
多様性のある組織に理想とされるリーダーシップ像は、包括型と呼ばれる ③インクルーシブリーダーシップです。
一人ひとりの自主性を重んじて、点ではなく面で組織が拡大成長していくのが特徴で、多くの企業が取り組んでいるダイバーシティ&インクルージョンに適したリーダータイプです。
トップダウンで一元管理をしたり、こまかく指示を出したりするのではなく、多彩な人材を多様な価値観に則して任せていくのが特徴です。
今の時代は「支配型リーダーシップ」では生き残れない
①支配型リーダーシップの方法で成長し、成功した組織もかつては多くありましたが、ハラスメントやメンバーのメンタルヘルスなど、多くの問題が顕在化してきました。
トップの意向に沿わない人はこぼれ落ちていく、というデメリットもありました。
また、時代性という観点に置いても、変化が比較的緩やかだった頃とは大きく異なってきています。
昨今のVUCA(Volatility変動性、Uncertainty不確実性、Complexity複雑性、Ambiguity曖昧性)と呼ばれる、先の予測が立たない社会では、ビジネス環境が大きく変化し続けています。
多様性に富んだ人材を確保し、組織の同質化を防ごう
強い恐竜よりも変化に対応できた種が生き延びたように、組織全体の柔軟性や多様性が重要となり、図表1の
②サーバントリーダーシップ、③インクルーシブリーダーシップ タイプのリーダー像が求められています。
鉄のような硬さよりも、竹のようなしなやかさが大切とも言えるかもしれません。
こ れからのビジネスは、それが商品開発でも、セールスプロモーションでも、カスタマーサービスでも、幅広い視点・考察・知識が交錯することで、社会ニーズにマッチしたものになっていきます。
これからの時代、答えはAIが教えてくれるようになっていくでしょう。
答えよりも気がつかない課題を見つけ出すことが、ビジネスにおいて重要になってきます。
それには、組織内に多様性でしなやかな価値観があることが不可欠です。
特性もバックグラウンドも異なるダイバーシティに富んだ人材が、多様な働き方をすることで組織の同質化を防ぐことが、これからの時代の組織に重要となるでしょう。
「自分ができていたから大丈夫だろう」という判断は危険
意図的にメンバーをつぶそうとする人はいないですが、それでも問題が起きてしまう理由の一つが、「自分ができていたから大丈夫だろう」という油断です。
プレーヤーとして優秀だったマネージャーほど陥ってしまう思考です。
問 題なく仕事を遂行できるかの基準は、マネージャー自身でもなければ、平均的なメンバーでもなく、もっともそのタスクが苦手な人に合わせるべきです。
依頼時に、余力や意欲の確認が必要です。
「担当プロジェクトが重なっていますが、このスケジュールでできますか?」「サポートが必要であれば、チーム編成を手伝いますよ」
…このように、なるべく無理をさせない工夫と、負担軽減の配慮を忘れないようしましよう。
任せるときに、良かれと思って期待をかけすぎてしまうことがあります。
「ピグマリオンの法則」で謳われているように、期待されていると良い成果を出すのも事実ですが、過剰な期待はプレッシャーになってしまいます。
プレッシャーが大きすぎると感じたら、「失敗しても大丈夫」「つらくなったらフォローしますよ」といった言葉で和らげましょう。
受けてもらったらそこで終わりではなく、このような依頼後のケアも必要です。
Z 世代を上手にしかる方法
部下ができると、褒めるだけではなく叱る必要も出てきます。
昭和のような頭ごなしの叱り方は論外で、新卒社員を含む「Z世代」には、苦言の前後を褒め言葉で挟むテクニックが有効なのです。
だから家康は天下を取れた、部下を潰さない叱り方5カ条
「 徳川家康の叱り方」というのが、SNSで話題となっていたことがありました。
- 本人だけに伝える
- やわらかい言葉で伝える
- 最初に今までの功績を称えて感謝する
- 最後にこの先も期待していると伝える
- 家来への叱責は自分への戒めと捉える
ネットで称賛されていたもので、史実なのか定かではありませんが、現代にも通じる相手を配慮した「叱り方」であることには間違いありません。
パワハラだと思われないように叱るにはどうすればいいのか
また、叱ることでパワハラにならないか、相手が会社を辞めてしまわないか、と心配になる人も多いです。
結論から言うと、ビジネスの場で叱ってはダメです。
では、スルーするのかというと、そうでもありません。相手の状況に応じて「指摘」「指導」「誘導」をします。
呼び方の違いではあるのですが、「叱る」という言葉には、「コラっ! 違うだろ! 何度言ったらわかるんだ!」というように、上から目線で怒っているイメージがあります。
これでは、アンガーマネジメントができていない上司になってしまいます。
叱るのは相手を成長させるため
そもそも叱る必要があるとき、その目的は「相手が改善するよう促す」ということに尽きます。
「褒める」と同様に「叱る」は手段であって目的ではないです。
それなのに、感情的になって叱っている人は、怒ることで気を晴らしているだけのことが多いです。
それではメンバーの行動改善にはつながりません。
「冷静に問題を指摘」して、なぜそれが問題なのか、どうすべきか「指導」して、改善できるよう一緒に考え「誘導」する、つまり「相手を成長させる」というのが目的であれるべきなのです。
「すでに反省している人」はどう誘導すればいいのか
例 えば、メンバーが顧客の機密書類を違う顧客に誤送信してしまったとしましょう。
本人がミスに気づいてもいない場合は、「指摘」「指導」「誘導」の順に進みます。
ミスを伝え(指摘)→起きたことの重大性を教え(指導)→再発防止の対応策を一緒に考えます(誘導)。
ミスは認知しているけど反省していない場合は、「指摘」はスキップし、「指導」からスタートします。
ミスも認知して深く反省している場合は、あらためてミスを伝えて反省を促す必要はありません。
傷口に塩を塗るようなことをしても、いいことはありません。
「誘導」に注力し、例えば添付書類を社外にメール送信する際はアラート機能をつけるとか、送る前に他の人がチェックをする体制をつくるなど、誤送信が起きないようにする対策法を考えてもらいましょう。
Z世代を叱るときに有効なアメリカ式のメソッド「シットサンドウィッチ」を使う
相手にネガティブなことを指摘しないといけない際の、おすすめの手法を紹介します。
アメリカで古くからある手法で、学生時代にメイドサービスを起業して、世界トップ10CEOに選出されたクリステン・ハディードさんの奮闘記『奇跡の会社』(ダイヤモンド社)の中でも多用されているものです。
一言で言うと、「いきなり叱ることはせず、褒め言葉で前後を挟みましょう」…シットサンドウィッチという手法です。
「シット」は本来あまり上品な意味合いの言葉ではないですが、文脈上「苦言」と捉えてください。「苦言」を良いニュアンスの言葉で挟むと、受け入れられやすくなります。
前 述の徳川家康の叱り方の「最初に今までの功績を称えて感謝する」「最後にこの先も期待していると伝える」もこれに近い考え方でしょう。
ビジネスとプライベートでありそうな例で、「苦言」から伝えるのではなく、シットサンドウィッチしてみましょう。
叱ることが目的ではなく、改善してほしいからネガティブなこともあなたに伝えている、ということを理解してもらう必要があります。
「ここさえ直せば他は完璧だから」「同じミスをしてほしくないから」など、なぜ指摘しているかを伝えましょう。