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許されない畳の敷き方【和室CASE3】
今回も独断と偏見で、旧暦のお話から、入らせていただきます。
小満 次候 紅花栄う
こんにゃくの日
煮てよし、炒めてよし、刺身用なら生でもよし。四季を通じて食卓に登場するコンニャクは、かつては秋冬を通じての高級食材だったそうです。原料となるコンニャクが傷みやすく、輸送や保存に向かなかったからなんです。
庶民の口にも入るようになったのは、1776(安永5)年、水戸藩の農民が粉にしたコンニャク芋からコンニャクを作る方法を発明してからだそうです。
豊富な水分と食物繊維が腸内の老廃物を排出する働きは、「お腹の砂払い」と呼ばれ頼りにされてきました。ほかにも、糖尿病予防やダイエットにも力を貸してくれます。今日は健康パワーがぎっしりと詰まったコンニャク料理にしてみてはいかがでしょう。
昔は、染料として紅花が使用されていました。 七十二候で小満の次候は紅花栄う(べにばなさかう)。紅花の花が咲きかえるころという意味で、およそ五月二十六日ごろから三十日までの季節です。
【和室CASE3】許されない畳の敷き方
今日も母娘(おやこ)連れのお客さんが相談にやってきました。今回はどんな相談事を持ってくるのか愉しみです。
- ①玄関から見てくれの悪い玄関引戸(ただし、使い勝手は引き戸のほうが格段に良好です。)
- ②引き違い戸のため開放度は劣ってしまう。
- ③中央の半畳は茶室などを除き、忌み嫌われることがあるので注意(特に卍敷きは避けたい)
- ④演出する空間や場所がない。
- ⑤イグサの目に逆らって歩きにくいので畳の短辺方向には、出入り口を避ける。
- ⑥玄関扉吊り元側には、圧迫感を与えるので収納を設けない。
d(娘) いろいろな用途に使える和室っていいね。和室っていうより、多目的室のほうが近いかもね。
m(母) 独立した和室もいいけど、普段はあまり使わないと思うから、リビングに繋げた和室のほうが便利かも。リビングの延長の部屋として…
d 畳コーナーでもいいけど、四畳半くらいあれば、扉で間仕切れば、お母さんにも泊まってもらえる部屋として使えるしね。
m 畳の部屋は多用途、多目的に使えるからすごく便利だわ。ところで四畳半の畳はどう敷いたらいいか知ってる?
d 間取りPLAN A のように敷けばいいんじゃないの?半畳を真ん中に入れればいいと思うけど、駄目なの?収まりもいいと思うけどね。
m 畳の敷き方に決まりってあるのかなぁ?畳の短辺を床の間に向ける敷き方は、「床差し」といって不吉でよくないと、前回習って知っているけど。
d 和室のルールっていろいろあるようだけど、床差し以外にしては許されない畳の敷き方ってあるのかしら?あんまりあると嫌だなぁ…。
【解決策・処方箋】
半畳の周りの畳を卍に敷くのは許されない
和室には伝統に基づく多くのルールや約束事があります。私のようなシキタリ破りな人間でも、ある程度は気にします。それらを理解して設計に反映されなければなりません。畳の敷き方には、「(赤)祝儀敷き」と不祝儀敷き」があります。
祝儀式は畳と畳の合わせ目がT字になる敷き方で、不祝儀敷き」があり、祝儀式は畳と畳の合わせ目がT字になる敷き方で、不祝儀敷きは畳の角が十字(四つ目)になる敷き方をいいます。現在は意匠的に四つ目に敷く例も見られるようになりましたが、畳の角を正確に合わせることは、大変難しいので、不祝儀敷きは、できるだけ避けたほうがいいと思います。その他「(赤)床差し」と呼ばれる、床の間に対して畳の短辺方向を向ける敷き方も許されません。なぜならば、床の間を見る際に畳縁が真ん中に見えて美しくありませんね。そして、畳の目の関係で床の間の前で座ったまんま膝を滑らしづらいことからです。
では、間取りPLAN Aはどうでしょうか?畳の角が四つ目になっている部分はありませんが、四畳半敷きの場合、中央の半畳は腹切り畳として忌み嫌われる場合があるので避けたほうが良いでしょう。さらに周囲の畳を卍に敷くと、特に縁起が悪いと言われていますので、やめておきましょう。では半畳をどの位置にするのがよいかということになりますが、鬼門線を避けるという考え方もありますので、間取りPLAN Aの解決策のように右下の位置が最適ということになります。
次に間取りPLAN Bを見ると、押入のサイズに合わせて美しく畳が敷かれています。特に問題なさそうですが、出入り口の畳の敷き方にひと工夫欲しいところでもあります畳の短辺方向には畳縁がなく、畳の目の関係からも出入りの際に畳が傷みやすく、つまづきやすい敷き方になります。この場合、押入の配置も含めて左右反転するといいかと思います。さらに間取りPLAN Bの解決策のように、押入れ扉の仕様を統一すると壁面も美しく見えるようになります。先ほどの例とは異なり、四畳半茶室では、半畳畳は中央に敷かれます。また、四畳半下座床や8畳和室では床差しになっても許されるとされますので注意が必要です。